西室 泰三氏  東京証券取引所会長兼社長

「めちゃかもん」の変わり身

2006年5月号 連載 [経営者のひきだし 第1回]

  • はてなブックマークに追加

 甲斐の国・山梨県に「めちゃかもん」という言葉がある。狡賢(ずるがしこ)い、負けず嫌い、という意味もあるらしいが、甲州商人に代表される勤勉さ、したたかさ、粘り強さのことを言う。 どれも、経営者には強い武器となる気質。とくに「粘り強さ」は、最も大事な資質だ。 では、いま経営者で、誰がそんなに粘り強いかと言えば、やはり、この人の名が挙がる。 西室泰三さん。 東芝の社長、会長を務め、いまは東京証券取引所の会長兼社長。その「粘り強さ」は、「めちゃかもん」の血と、父の教育、通算12年半に及ぶ米国勤務が、磨きをかけた。 山梨県谷村町(現・都留市)に生まれ、実家は黒紋付きの染め物屋。老舗で、東京・神田と京都にも店を出していた。兄が3人、姉が1人。父の貴義さんは教育熱心で、5歳の時から兄とともに「論語」や「春秋」の素読をさせられた。幼心に、己を律する厳しさ ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。