再び「強い円」の時代

2006年7月号 連載 [隗より始めよ]

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 アメリカの経常収支赤字が名目GDP(国内総生産)比で6%を超え、最高値を更新し続けている。 プラザ合意が発表された1985年には3%弱で、今の半分の水準だった。あのときは先進国間の経常収支の不均衡を是正する目的で、為替レートの大幅な調整が試みられた。それにもかかわらず、よくもまあアメリカは赤字を増やし続けてきたものだと感心するばかりである。 工業化の過程では、設備投資の急増期に設備財の輸入が一時的に増え、赤字が急増する。かつての日本を含め、多くの国に見られた現象である。この種の赤字に問題はない。投資が一巡すれば輸入は減少し、新しい設備の稼動によって輸出が急増して黒字に転じるからだ。 アメリカの場合、赤字拡大の主な原因は消費の増加である。貿易財の生産増加に結びつく投資はなされていない。どう見ても、海外からの借り入れを返済する当てがない。しかし日 ………

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