三菱商事元社長 三村 庸平氏

「日米摩擦」で真骨頂

2006年7月号 連載 [ひとつの人生]

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寡黙だが上品さが漂う三菱紳士だった。商社マンとして戦後復興から高度経済成長に貢献、社長、会長時代には日米貿易摩擦への対応に追われた。まさに戦後の日本経済の生き証人だった。 昭和15年三菱商事に入社以来、一貫して水産畑を歩んだ。四方を海に囲まれた日本は漁業王国ゆえに水産部は稼ぎ頭。商社の中でも同社の水産部は群を抜いていた。三村に部下として仕えた槙原稔(元社長)は「芯が強く、常に斬新で大胆なことを考えていた異色のビジネスマンだった」と、その先見性と実行力に畏敬の念を抱いていた。昭和30年代は水産物といえば缶詰が主流だったが、三村は魚を冷凍にして取引を始めた。また、シアトル支店に勤務している時、日本へ輸出している鮭の缶詰を英国へも輸出した。今ならめずらしくも何ともないが、第三国輸出のはしりだった。 昭和55年、社長に就任するや基礎収益力の強化を真っ ………

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