3兆9000億円逆転買収劇の裏に、英米ヘッジファンドの影が浮かぶ。
2006年8月号 GLOBAL
総額268億ユーロ(約3兆9千億円)――天文学的な巨額買収が実現した。インド人鉄鋼王ラクシュミ・ミタル会長が一代で築き上げた世界最大の鉄鋼メーカー「ミタル・スチール」(本拠はオランダ)が、世界第2位の「アルセロール」(本拠地ルクセンブルク)を呑みこみ、「アルセロール・ミタル」が誕生することが決まったのだ。その瞬間、ロシアの「白馬の騎士」は“失恋”の悲哀を嘗めさせられた。世界12位のロシア鉄鋼大手セベルスターリである。 その1カ月前の5月26日は立場がまったく逆だった。“成り上がり”ミタルのTOB(株式公開買い付け)に反感を隠さないアルセロールのギー・ドレCEO(最高経営責任者)は、セベルスターリとの合併提案を発表、これでミタルの買収を阻めると鼻高々だったのだ。 救世主だったセベルスターリのアレクセイ・モルダショフCEOも同じ思いだった。計画発表の直前、黒海沿岸 ………
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