安倍家三代のDNA

2006年10月号 連載 [硯の海 当世「言の葉」考 第6回]

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 自民党総裁選の年ということもあって、ことしは講演に招かれる機会がいつもより多い。映画の寅さんばりにオレンジ色のトランクを引っ張って(寅さんは手に提げていた)全国をひとり旅している。「政局展望」などという講釈師まがいの演題で話すのだが、同じテーマでもうまく話せたなと思うときもあれば、落ち込んでしまうほど調子に乗らないまま終わってしまうこともある。 3月の広島での講演は、いつもと違う状況になったため、少しばかり緊張してしまった。昼の講演会は、まず出席者とともに昼食をとってから話すという形式が多いが、その日も地元の有力者のメインテーブルに座った。講演のテーマは、「ポスト小泉」である。隣の人と、いつものように名刺交換をする。いただいた名刺の名前を見て、頭が真っ白になった。 名刺には「三菱商事中国支社長 安倍寛信」とあった。なんと安倍晋三さんの ………

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