2006年12月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
家電量販大手ビックカメラの本拠地であるJR池袋駅東口周辺は、明治通りを挟んで地上8階地下1階の池袋本店と地上7階地下1階のパソコン館池袋本店が向きあい、駅から歩いて数十秒という地の利もあって、同社独壇場の商圏だった。ところが、そこへ競合のヤマダ電機が殴り込みをかける。
ヤマダ電機が出店を計画するのは、ビックカメラ池袋本店とは間にビル一つ挟んだだけの明治通り沿いの地上9階地下2階のビル。今年4月に着工、来年6月の竣工予定で建設が進められている。延べ床面積が1万平方メートルを超える大型ビルだ。
実はこの場所、当初は競輪の場外車券売り場が設置されるはずだった。同ビルのオーナーは「ハタボウル」などのチェーンを経営する一族で池袋近辺では影響力も大きい。しかし、池袋駅東口が風俗街と近接しており、車券売り場の誘致でさらに環境が悪化することを嫌った豊島区や豊島区議会がビックカメラと手を組んでその計画をつぶした経緯があった。
ビックカメラにしてみれば豊島区はともに車券売り場計画を粉砕した連合軍。ところが、このビルへヤマダ電機の出店を容認したのも同区。このビルの駐車スペースが足りないことを理由にビックはビルの建設を認めないよう同区に圧力をかけたとされるが、最終的に同区は「ビル外も含めて駐車場を分散して確保すれば問題ない」としてOKしてしまった。
こうして来年には安売り家電戦争が池袋駅東口で火を噴く。ビックは腹の虫がおさまらないが、消費者にとっては値下げ合戦の恩恵が待っている。