2006年12月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
塩崎恭久官房長官の存在感が乏しい。一日2回、記者会見する立場にある塩崎氏だが、官僚が用意した応答要領を踏み出す大胆さはない。テレビ向けの振り付けに従っているのか、会見の冒頭はいつもにこやかだが、それが作り笑いであることは皆が知っている。北朝鮮に関する質問については「インテリジェンス(機密情報)にかかわる」の決まり文句を連発、官邸詰の記者からは「政府の見解を聞いてもインテリジェンス。何でもかんでもインテリジェンスと言えば済むと思っている」と揶揄する向きも。
一方、得意とする金融、経済問題では元日銀マンの知識をひけらかす能弁ぶり。ついたあだ名は「インテリ長官」。 官房長官は官邸のスポークスマンであると同時に、各省庁との高度な調整役でもある。しかし、省庁幹部から塩崎氏を評価する声は聞こえてこない。それもそのはず。自分の興味があるテーマには食いつくが、社会保険庁改革問題など、政府と自民党の間で泥をかぶりそうな問題は、首相補佐官に丸投げを決め込むからだ。安倍内閣が内政でぱっとしないのは「女房役の力不足」(内閣官房幹部)との陰口も。