2007年3月号 DEEP [ディープ・インサイド]
朝日新聞社が1月下旬に招待した中国の于再清(ユイ・ツァイチン)国家体育総局副局長(次官級)の東京滞在中の隠密行動が話題を呼んだ。中国オリンピック委員会副会長と国際オリンピック委員会理事の肩書を持つ于副局長は、1月23日付朝日新聞で日本オリンピック委員会の竹田恒和会長と対談。「五輪談議」に花を咲かせた。
その于再清氏が秘密裏に在京中国大使館で石原慎太郎東京都知事と会っていたことを知らされた関係者は複雑な気分を味わったに違いない。1月19日の夜、王毅(ワン・イー)中国大使がお膳立てした夕食会で石原知事は、于副局長に3月前半の訪中の意向を伝え、劉鵬(リュ・ペン)国家体育総局長をはじめとする中国スポーツ界の大物との会談を申し入れた模様。言うまでもなく、石原氏の狙いは16年五輪の東京招致への中国の支持取り付けにある。現状では東京招致は困難。08年北京、12年ロンドンでの開催が決まっており、16年五輪もアジアに誘致するコンセンサスが得にくいからだ。それを承知のうえで石原氏が招致工作を強行するのは、4月8日の東京都知事選対策の一環である。石原知事は、有力候補擁立を極度に恐れており、四男に対する東京都の「情実契約」が明るみに出て、お膝元の東京都職員から「3選出馬反対」の声が出始めたことも頭痛の種。とりわけ民主党の菅直人代表代行の擁立を恐れている模様。