2007年4月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第12回]
いまの日本には奇妙な幻想がひとり歩きを始めている。政治指導者は確かな情報さえ手にすれば、誤りなき判断を下すことができる――と。インテリジェンス至上主義とでも呼ぶしかない面妖な期待が自己増殖しつつある。それほどに日本の政治には、イラク戦争の後遺症が黒々と影を落としているかに見える。イラクのサダム・フセイン政権は大量破壊兵器をひそかに保有している――。アメリカのブッシュ政権は、これを大義名分にサダム・フセイン体制を武力で転覆しようとした。そして来るべき戦争では、もっとも忠実な同盟国日本にアメリカを支持するよう強く求めたのだった。当時の日本政府は、果たしてイラクが核や生物・化学兵器を保有しているのかどうか、独自のインテリジェンスを持っていなかった。それゆえ、ワシントンから流れ込んでくる情報(インテリジエンス)に安易に依拠したまま「ブッシュの戦争」 ………
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