歴史観で再編動かす
2007年4月号 連載 [ひとつの人生]
3月5日のお別れの会で、妻肇子さんの実母で歌人の佐藤志満さんの弔歌が詠まれた。かくの如 悲しき報せ 聴くものか老いわれのこし 君は逝きたり1月4日に開かれた新日鉄の役員互礼会では乾杯の音頭をとっていた。まさに急逝だった。1998年春に社長となった。前年にアジア通貨危機が発生し、鉄鋼需要は大きく落ち込んだ。鉄鋼価格は急落し、世界のどんな会社でも利益は出ない、といわれた苦境の中でのバトンタッチだった。そこに「ゴーン・ショック」が追い討ちをかけた。日本の鉄鋼業界にとって、自動車産業は最大の客筋。業界トップとして長年の業界秩序を守ることが、鉄鋼各社のためにもなってきた。しかし、日産自動車が99年から進めた「リバイバルプラン」によって業界模様は激変。トップといえども遮二無二に走らざるを得なくなってしまった。それは滔々とした時代の流れだった。グローバル化の中 ………
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