宰相リシュリュー<下>

国家の敵よりほかに敵なし

2007年4月号 連載 [第二の男 第3回]

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まるで喜劇芝居の一幕だ。舞台は母后マリのリュクサンブール宮。彼女はルイ13世にリシュリュー罷免を迫っている。すると秘密の扉から突然、宰相が出現。母后は逆上し、宰相は泣いて哀訴する。とんだ愁嘆場に辟易した国王は、彼に謹慎を命じた。勝利を確信した母后は、腹心マリヤックと新政権を準備する。ところが国王はヴェルサイユ宮に宰相を呼び、「母は敬うが、余はわが国家により以上の義務を負っているのだ」と告げる。罷免はない。マリヤック一味は捕らえられた。宰相は母后を国王から引き離すため、一計を案じた。「母后が近く逮捕される」という噂を広めると、彼女はスペイン領オランダへ亡命、以後、フランスの地を踏むことはない。王弟はモンモランシー公と蜂起するが敗れ、彼もオランダに逃げた。宰相にとって最大の難題は対外政策だ。北イタリア問題はケラスコ条約でとりあえずけりをつけ、 ………

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