創った、斬った、愛した
2007年5月号 連載 [第二の男 第4回]
この男、士道というよりダンディズムという言葉がよく似合う。人斬り集団、暗殺集団と畏怖された新選組を創り動かしたナンバー2、肖像写真にみるような優男は、剣に生き、女を愛し、銃弾によって武人としての短い生涯を終えた。鳥羽・伏見の戦いで、幕軍が惨敗した直後の話だ。明治期の劇作家、依田学海(下総佐倉藩士)が、慶応4(1868)年1月12日、江戸城内で近藤勇と土方歳三に会い、印象記を残した。『譚海』の記述を現代語訳すれば、こうである。「男子がいた。体格は豊かで大きく、顔色が黒かった。肩を布でおおい、傷を負っているようだ。名を聞くと、あの近藤勇(いさみ)昌(まさ)宣(よし)だった。そこで伏見戦争について質問すると、『僕、傷を負いて戦に臨まず』と言った。そして背後に坐っていた者に、『我が子(し)(君)、話をしてくれ』と言った。そこに体格は短小で顔色は蒼白、眼 ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。