2007年7月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
消費者のクルマ離れが叫ばれて久しいが、田舎ではサンダル代わりの軽自動車が好まれ、都会ではセレブの虚栄心を満たしてくれる欧州車の健闘が目立っていた。ところが、その欧州車の売れ行きに暗雲が立ち込め始めた。
4月の輸入車販売台数は前年同月比15%減。最近、じりじりと台数を減らしつつあったが、業界の受け止め方は「本国メーカーの経営不振が伝えられる米ビッグスリーなどマイナー組が自滅していっただけ」。ところが、今回は日本の輸入車市場をリードしてきた欧州勢の凋落が著しい。4月はBMWが11%減。それどころか、輸入車の王様であるメルセデス・ベンツが激減、実に26%も販売台数を落とした。
プレミアムカー人気も遂に終焉か、と思わせたが、「ベンツでも一台1000万円超の上級モデルは売れ行き好調」(ヤナセ関係者)。セレブ気取りで小型のベンツやBMWを購入していた客層が息切れしただけの可能性もあるが、 もし、プチセレブ層の消費息切れが欧州のプレミアムブランド失速の原因だとすると、本来、消費意欲旺盛な彼らが、なぜ勢いを失ったか理解に苦しむ。業界内には景気拡大に変調が起きる前兆という見方も。