2007年8月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
自民党町村派会長の町村信孝前外相が総裁派閥の領袖とは思えない情報不足を曝け出し、赤っ恥をかく羽目になった。事は広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」と発言した久間章生前防衛相の進退問題で起こった。
「久間さん自身も謝った。安倍晋三首相は辞めさせない考えだ。辞めることはない」
事もあろうに久間氏が辞任表明を決断した7月3日昼、町村氏は担当記者団の前で、こう断言していた。久間氏が首相官邸を訪れて辞意を首相に伝えたのは、その直後のことだった。
後任人事の見通しについても「重厚で防衛問題に詳しい経験者が望ましい」などと語り、額賀福志郎、石破茂、中谷元の各氏の名前を挙げていたが、結果は、何と自ら率いる町村派に所属する小池百合子氏だった。
町村氏は結局、初めから終わりまで首相から何の相談も受けず、蚊帳の外に置かれていた。派閥の領袖の面目は丸潰れ。腹の虫が治まらないのか、「おれなら小池氏は選ばない」と吐き捨てるのが精一杯で、記者団から失笑が漏れていた。