刺すような視線とテロの予兆

映画『キングダム 見えざる敵』

2007年11月号 連載 [IMAGE Review]

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ドイツ国防省の高官が、インタビュールームに駆け込んできた補佐官のメモに視線を落とし、淡いブルーの瞳に険しい光が走った。「サウジアラビアの外国人居留区に自爆テロが仕掛けられました。犠牲者も出ていますので失礼」この高官が急ぎ足で去っていった光景をいまも憶えている。ドイツの暫定首都ボンでの出来事だった。急ぎ戻った首相府のプレスセンターは騒然としていた。1996年のホバル・タワー爆破事件は、欧州各地にも波紋を広げていたのである。ピーター・バーグ監督は、この事件に啓示を受けて、映画『キングダム 見えざる敵』の製作を手がけたという。サウジの油田地帯に出現したテキサスと見紛うばかりの現代の租界地。イスラム過激派はここを標的に自爆攻撃を仕掛けたのだ。現場に急行した捜査陣を狙って第二波の攻撃が仕掛けられ、捜査官が犠牲となってしまう。ジェイミー・フォックス扮す ………

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