憎悪の連鎖断つ古代と中東を重ねて

演劇『エウメニデス (慈しみの女神たち)』

2007年12月号 連載 [IMAGE Review]

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ギリシャ悲劇と銘打った公演が秋に相次いだ。親殺し、夫殺しなど血族間で凄まじく殺し合うギリシャ悲劇は、家庭崩壊した現代の家族同士の殺し合いとシンクロナイズして見える。だから、演出家がギリシャ悲劇で現代を描けると強い関心を寄せるのだろう。新国立劇場の演劇部門の芸術監督に就任した鵜山仁は「大きな物語」の再生を標榜し、開場10周年記念として9月から「三つの悲劇――ギリシャから」をスタートさせた。ギリシャ悲劇を現代に翻案したもので、第1弾は鵜山自身が演出した川村毅作「アルゴス坂の白い家――クリュタイメストラ」で、次に在日韓国人の鄭義信の作「たとえば野に咲く花のように――アンドロマケ」と続いた。だが、等身大の現代人を登場人物にして、ギリシャ悲劇の持つ壮大な骨格はなかなか描き得ないという憾みが残った。ギリシャ悲劇の重さに耐えかねた感が否めない。10月初めにはウズ ………

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