2008年1月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
民主党の小沢一郎代表に批判的な前原誠司副代表や野田佳彦衆院議員らを中心とする保守派グループがすっかり鳴りを潜めている。参院選での民主党大勝に続いて大連立構想が浮上し、存在感を示す場面がなくなったからだ。前原氏周辺からは「戦略を練り直す必要がある」との声も聞かれる。もともと同グループは、外交・安保問題で、自民党の保守派勢力との連携を志向。「自民復党予備軍」と揶揄されることもあったが、参院選で民主党が大勝。それを受けた8月の党役員人事で、前代表の前原氏が副代表として執行部入りしたため、静観を余儀なくされた。
そこへ小沢代表と福田康夫首相の間で大連立構想が持ち上がり、自民党との連携では完全に先を越される形となった。確かに大連立構想そのものは、党首会談の決裂でいったん「ご破算」になったものの、次期衆院選で自民党が勝利しても、参院での与党過半数割れ状態は今後、最低6年間は続くとされ、衆院選後に大連立構想が浮上する公算は大きい。そうしたなか、遠からず前原氏も福田首相とは距離を置く麻生太郎元外相や中川昭一元政調会長らタカ派勢力との連携を模索する、と見る向きもある。政界再編をめぐって早晩、自民、民主両党を巻き込んだ主導権争いが勃発しそうだ。