誇らざる「最後の総裁」
2008年3月号 連載 [ひとつの人生]
戦後まもなく生まれた日本国有鉄道の40年弱。10人の総裁がこれを順次経営した。めでたくハッピーエンドで終えた総裁は、高齢を理由に辞任した商社出身の石田禮助ぐらいなものだった。残りは政府と対立して首になるか、事故の責任を取って辞めた。初代の下村定則などは、就任1カ月で常磐線の綾瀬駅近くの自社のレールに轢断されて発見された。大量解雇に悩んだ末の自殺と考えられているが、謀殺説が消えない。その意味では、杉浦喬也は総裁として珍しい円満退職ということになる。国鉄が消滅することになっていたからではあるが。7代総裁藤井松太郎は8日間のぶち抜きストの責任を取らされ、馘首された。これが国鉄の分割・民営化のきっかけとなった。杉浦が10人目の総裁に就任することになったのには、こうした経緯があった。杉浦が国鉄と深くつながるのは、運輸省鉄道監督局国鉄部長になったことに始ま ………
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