入社式「社長訓示」に見る大手新聞の社風と品格

2008年5月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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新聞社や通信社のトップは新入社員に何を期待するのか。今年の入社式での訓示を比べてみると、社風や人柄、品格までわかり、なんとも興味深い。

取材メモの捏造など3年前の不祥事に触れつつ、「現場第一主義」と「勇気と気概を持て」と訴えたのは朝日新聞の秋山耿太郎社長。「前例踏襲、事なかれ主義があってはならない」とも。読売新聞の渡辺恒雄グループ本社会長・主筆は「部数は世界最大で経営は極めて安定している」と胸を張りながら「捏造、誤報はいけない」。愛妻家らしく「家庭は大事に」と呼びかけた。

毎日新聞の北村正任社長は自身が入社した43年前も今も「自由闊達な社風は変わらない」と語り、「毎日新聞は世のため人のためにある」。新聞協会賞22回の最多受賞は毎日の自慢のタネ。

産経新聞の住田良能社長は「ネットの覇者になることは新聞の雄になることにも通じるとの基本認識を持って取り組んでいる」と述べ、改めてネット重視の姿勢を強調した。

日経の喜多恒雄社長は「新聞以外の事業にも積極的に取り組む総合メディアグループ」としたうえで、「日経ブランドを高めていくには、社会人としての礼儀や常識をわきまえた言動を」と呼びかけた。

共同通信の石川聰社長は「あなた方の胸の中に『怒り』はあるか」と問いかけ、「通信社の記者の仕事の原点は疑問と怒り。何も感じないならすぐに違う仕事を探したほうがいい」と硬派の訴えだった。このほか「モラリストであってほしい」(若林清造時事通信社長)や「常に身を律し、身を正すことを忘れてはならない」(大島寅夫中日新聞社長)などの訓示もあった。

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