金融庁を翻弄する究極の会計操作。貸倒引当金積み増しによる利益捻出術とは……。
2008年5月号 BUSINESS
収益悪化に苦しむ新生銀行がついに本店不動産の売却に動いた。国から義務づけられた経営健全化計画の利益目標達成が危ぶまれていただけに、苦肉の策というほかはない。なにしろ、同行は2007年3月期決算でも大幅に利益目標を下回っていた。08年3月期も利益目標を30%以上下回れば、ティエリー・ポルテ社長らの経営責任が問われ、辞任必至の状況にあったのだ。金融庁が公的資金投入行に課した、俗に言う「30%ルール」だ。ある新生銀行関係者は内情をそっと漏らす。「3月に入ってポルテの顔色は変わっていた。経営会議では何とかしろと怒鳴りまくっていたそうです」
ポルテ社長が決断した奥の手は、虎の子の本店売却による最終利益のかさ上げだった。ところが、新生銀行の公式発表には、そんな算段の気配は微塵もない。曰く、「当行は本店を所有することが資産の最適な活用方法とは考えていません。わが ………
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