2008年5月号 連載 [隗より始めよ]
サブプライム問題の深化と並行して、ドルの危機を訴える声が広がっている。確かに、米国経済には、景気後退の暗雲が立ち込めている。米国経済の強さの象徴でもある金融資本市場の危機が、投資家のドル離れを招いている面があろう。これを、ドルの趨勢的な凋落の始まりとする見方もある。果たしてそうか。ドルの強さを測るには貿易額で加重平均したドルの実効相場を見るのがよい。FRB(米連邦準備理事会)によれば、足元の実効相場は、サブプライム問題の深刻さが意識され始めた昨年8月と比べ、約10%のドル安となっている。この程度のピッチの為替変動は、過去に幾度もあったし、珍しいことではない。ちなみに、この間のドル円相場は20%強のドル安・円高となっている。このことが時にセンセーショナルに報道されるが、ドルの実力を円との関係だけで測るのは誤りだ。現下の円高は、ドル安の反射効果とし ………
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