内治を整い民産を殖する
2008年6月号 連載 [第二の男]
薩摩藩の公武合体運動のために、大久保利通は島津久光の意を体して奔走する。藩主でもない久光は名分を得るため、朝廷守衛の勅許を得て兵を率いて入京したかった。その上で幕政改革のため、「朝廷が非常の聖断をもって一橋慶喜を将軍の後見に、松平慶永(よしなが)を大老にすべしと幕府に対し勅命を発し、大藩に協力して忠誠をつくすべしと特に命じてほしい」と、大久保は権大納言近衛忠房に協力を仰ぐが拒絶される。藩内外の批判も強い。他方、尊攘激派は倒幕挙兵の機とみた。藩内不調和。大久保は状況改善のため、信望ある西郷隆盛を大島から戻すよう尽力した。だが、西郷は計画に反対し、久光を激怒させる。大久保の説得でようやく西郷は起用され、情報収集しながら京に先発し下関で久光を待つはずが、薩長土の激派暴発の危険を知り、鎮撫のため無断で上京、久光をまた怒らせた。驚いた大久保は西郷 ………
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