2008年7月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
政府が6月で会期末を迎える通常国会での提案を見送ると決めたことで、空席の続く日銀副総裁人事は長期戦の様相だが、ここで大田弘子経済財政担当相の名前が浮上してきた。7月の洞爺湖サミット後とも取り沙汰されている内閣改造で、福田康夫首相が大田経財担当相を交代させ、論功行賞として副総裁に起用するのではとの説だ。
日銀の人事を巡っては、これまで武藤敏郎副総裁、田波耕治・国際協力銀行総裁の2人の元事務次官、渡辺博史元財務官という財務省出身者が民主党にことごとく蹴られてきた。日銀としても政府とのパイプを断たれ、難しい政策運営を迫られている。そこで財務省との関係が濃くない大田担当相を副総裁に充て、政府とのつなぎ役を果たしてもらうというわけだ。日銀の政策委員会のメンバーで女性は須田美矢子審議委員のみ。バランスからも「適任では」(政府筋)との声もある。
ただ、大臣経験者が日銀のメンバーに入るのは極めて異例。大田担当相が仕切り役を務める経済財政諮問会議に対する民主党の反発は根強く、伊藤隆敏東大教授の起用を拒んだ経緯もある。それだけに、自民党政権の中にいた大田氏の起用を民主党が簡単に認めるとは考えにくい。福田首相が大田担当相を高く評価していることから、そのまま留任するとの見方もあり、サプライズ人事の実現は不透明だ。