勝ち組「伊勢丹」に変調 国内どころか中国も不振

2008年10月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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百貨店業界の「勝ち組」伊勢丹が変調を来している。旗艦店の新宿本店の売上高が今年3月に前年比マイナスを記録し、その後も勢いがない。同本店は9月に入って10~20代女性に照準を定めた売り場を新設し、低価格商品を充実させたが、「パンチに欠け、『常勝神話』もこれまでか」(アパレルメーカー幹部)と揶揄されている。

海外では中国1号店の「上海華亭伊勢丹」を、売り上げ低迷を理由に11月に閉店。「上海梅龍鎮伊勢丹」は好調が続くが、昨年9月には山東省済南の店舗を閉め、今年2月に開店した瀋陽店も「意外に苦戦」(中国駐在の日系企業関係者)。今秋に予定していた北京の大型店の開店も遅れており、現地では「中国での積極展開はうまくいっていない」との見方が広がっている。

伊勢丹は集客力を背景に、取引先に対して「売れ筋商品を優先的に回すよう要求する強気の姿勢」(前出のアパレル幹部)が目立ってきた。取引先の反発に加え、統合した三越内部にも伊勢丹のやり方を疑問視する勢力があるだけに、業績が下降線をたどれば「伊勢丹流」に不満が噴き出すだろう。

   

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