2009年6月号 連載 [「軍略」探照灯 第38回]
日本が「テポドン2」の発射で大騒ぎをしていた4月5日、チェコのプラハではオバマ米大統領が「米国は核を使用した唯一の核保有国として道義的責任がある。核兵器のない世界に向け、具体的な方策を取る」と演説、数万人の聴衆から大拍手を浴びていた。逆に日本ではこの日から「核を持つという脅しくらいかけないといけない」(自民党・坂本剛二組織本部長)、 「北朝鮮の基地を攻撃する能力を議論しよう」(同党・山本一太前外務副大臣)といった声が高まったのは皮肉だ。まるで競泳で他の選手達が最後のターンを終えたのに、一人だけがまだ逆方向に泳いでいるような感もあるが、偏狭な隣国が核実験やミサイル開発を進めているのだから「核戦略」論議がいまになって日本で起きたのも無理はない。
オバマ氏が核軍縮・廃絶への率先姿勢を示したことから、日本のタカ派の間では「米国の核の傘は信頼できな ………
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