戦時下で養蚕から毛皮へ
2009年6月号 連載 [日記逍遥 第5回]
ゴルフの愛好者ならば、内田収三という名前に聞き覚えがあるだろう。自分の年齢以上のホールをまわることをエージホールというが、1986年、83歳のときにその日本記録を達成し、ギネスブックに掲載され話題になったからである。健康志向の流れにも乗り、その後も「健康優良爺さん」としてマスコミに紹介され、著書も出せば、講演もこなし、長寿者を顕彰する基金まで設立する。内田は平成15年に99歳で亡くなるが、そのとき書斎には大正9年から亡くなる前年まで、じつに83年間にわたってほぼ毎日書き継がれた日記が遺されていた。「健康優良爺さん」は、じつはゴルフの人だけではなく、日記の人でもあったといえよう。内田収三は明治37年に静岡県の伊豆長岡で生まれている。戸倉惣兵衛が国会開設の年に創設した蚕種会社、国開園に入り、大正9年には叔父の栗原啓が所長をしていた千葉県佐倉出張所に配属とな ………
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