2009年8月号 連載 [隗より始めよ]
先ごろ、農林水産省の井出道雄事務次官が民主党の農業政策を批判したことが話題になった。民主党が反発し、結局次官は陳謝したが、批判の是非はともかく、民主党がマニフェストに掲げる政策と農水省の考えの間には、実際かなりの違いがある。もし政権交代が現実のものとなれば、政策のすりあわせは難しい問題となるだろう。特に「小さな農家も大事に」とする民主党がその方針を推し進めれば、石破茂農水相の下で議論が進んだ農地集積加速化事業や生産調整の見直しは頓挫する可能性が高い。しかし、政権交代が農政にとってマイナスになるかといえば、決してそうとばかりはいえまい。現に自民党政権でも、石破農水相が進めている農政改革が自民党農林族の強硬な反対により潰されつつある。これは表裏一体にある省内の改革が進んでいないことの表れでもある。農業や農村が衰退する一方、国際的に食糧問題が ………
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