パキスタンの掃討作戦で300万人が国内難民に。シェリー・レーマン前情報相が本誌に特別寄稿した。
2009年8月号 GLOBAL [パキスタン新たな悲劇]
母国にいながら難民の身に転落することほど悲劇はない。流浪はもはや想像の世界でもなければ、どっちつかずの選択肢でもない。人災や天災の深手が突きつける現実なのだ。2月にパキスタン政府がイスラム原理主義を信奉する武装勢力と合意した和平協定で、アフガニスタンと国境を接する北西辺境州スワート地区がタリバンに事実上割譲された。なお続く掃討作戦で家を捨てざるをえなくなった人々の苦痛と喪失感は増すばかり、最下層民として放浪するという言語に絶する恐怖に直面している。戦禍を逃れて他州に逃げこんだ「国内難民」(IDP Internally Displaced Persons)のうち、パキスタン政府が北西辺境州23カ所に開いたキャンプに収容されたのは23万5241人(7月初時点)。難民登録されながら、キャンプにたどり着けず、親戚や友人を頼って生きている人々は150万にのぼる。この危機は、地域勢力であるタ ………
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