「素人」大臣の直感
2009年11月号 連載 [ひとつの人生]
携帯電話をあけて宛先リストをひらくと、悲痛な気分になる。「な」の項の先頭は「中川昭一」。もう、彼から発信が届くことはなく、かけたって彼はいない。だが、その名を消去する気になれない。忘れもしない。あれは昨年10月8日の夜だった。9月15日のリーマン・ショックで世界の金融・資本市場が凍りつき、銀行間市場の異常に誰もがうろたえた時。たまたま頼まれた講演があって、東京・虎ノ門のホテルオークラ12階に顔をだした。現職の財務・金融相の彼も来る予定と言われた。当事者を前にして現下の危機を解説するとは「釈迦に説法」と恐縮したが、ほどなく「大臣は遅れて参ります」と告げられ、内心ほっとした。講演が質疑応答にさしかかったころ、彼がSPを連れて到着して、頭をかきながら「いやあ、ぜひ話が聴きたかった」と照れくさそうに言う。つい3日前の日曜夜、帝国ホテルの一室で麻生太郎総理 ………
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