斎藤隆夫日記の浪人時代

反軍の神様、「金」と戦う

2010年4月号 連載 [日記逍遥 第15回]

  • はてなブックマークに追加

斎藤隆夫はいまや、議会での二つの演説によって伝説となっている。ひとつは昭和11年5月、二・二六事件直後に行われた「粛軍演説」で、もうひとつは15年2月、政党が解党し、大政翼賛会に流れ込む少し前に行われた「反軍演説」である。粛軍演説は1時間25分、このような不祥事根絶のために「一刀両断の処置」を求めるとともに、事件に責任のある「軍部当局者は、相当に自重されることが国民的要望である」として、軍部の自制を要求した。反軍演説は1時間30分、「強者が弱者を征服する、これが戦争である」「この現実を無視して、ただいたずらに聖戦の美名に隠れ…曰く共存共栄、曰く世界の平和、かくのごとき雲を掴むような文字を列べ…国家百年の大計を誤」ってはならないとして、歴代内閣の対中政策を批判した。粛軍演説は人々の喝采を浴び、憲政史上に残る不朽の演説と評される。ただその後しばらくは、護 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。