2010年6月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
家電量販大手のコジマは、09年3月期決算で2期連続の最終赤字に陥り、財務内容が悪化。業を煮やしたメーンバンクの足利銀行と経営陣の一部が組んで、創業者直系の小島章利社長を事実上解任した。現在、あちこちに経営再建に向けた提携を打診しているが、残された時間は少ない。
ある家電量販店幹部は「コジマの社長交代はクーデターだ」と打ち明ける。コジマは2月に突然、小島章利社長が会長に就き、取締役常務の寺﨑悦男氏が社長に昇格する人事を決めた。発表したのは午後8時50分。取締役会は通常、午前中に開かれる。夜9時に社長交代を公表すること自体、異例である。先の幹部は「新社長の寺﨑さんは、今は亡き創業者・小島勝平氏の実兄、金平氏(現コジマ相談役)の娘婿。大株主の金平氏は今も社内に睨みを利かせている。この金平氏と足利銀が組み、章利氏に社長交代を迫った。会長に祭り上げられた章利氏はのんびりしていますよ」と話す。足利銀にとってコジマは有数の大企業であり、万一の事態が起これば、火の粉を被ることになる。このため、ライバルのビックカメラやヨドバシカメラ、さらにはイオンやセブン&アイに、コジマとの提携を持ちかけたが、ことごとく断られた。「家電メーカーもコジマとの取引に慎重になっており、早く信用補完の相手を探さないと困ったことになる」と銀行関係者は危惧する。