ブラウンの失言がマイクに拾われ、保守党が13年ぶり第1党。ちらつく“ダウニングゲート”の影。
2010年6月号 GLOBAL
5月6日投票の英国議会下院選挙は、1997年以来13年間政権を維持してきた労働党が258議席と敗退、野党・保守党が306議席を占めて第1党に躍り出た(5月9日現在)ものの、獲得議席数は過半数に及ばず、74年以来のハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)になった。なぜ労働党は大敗したか。長期政権の飽きと財政悪化で支持率が低迷していたところに、ゴードン・ブラウン首相が遊説中、食い下がる年金生活者の女性に手を焼き、思わず「頑固頭(bigoted)の女」とつぶやいたからだ。うっかり首相がテレビ局のピンマイクをスーツの襟につけたままだったため、その声が大々的に報じられた。しかし、ホワイトホール(ロンドンの官庁街)はもっと深刻な“ダウニングゲート”事件で揺れている。
防諜機関MI5が首相官邸(ダウニング街10番地)を63~77年の15年にわたり盗聴し、その事実を新著に記そうとした歴史家に ………
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