2010年8月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第52回]
「4軍の最高司令官たるアメリカ大統領が、司令官の首を切ろうとする時にはこころせよ。突然の更迭劇は日々悪化する戦局を映す鏡のようなものなのだ」アメリカがイラクと戦端を開いた直後、陸軍参謀総長だったエリック・シンセキ大将が突然解任された。退任式には慣例に反してドナルド・ラムズフェルド国防長官もポール・ウゥルフォビッツ副長官も姿を見せなかった。中央の広場に傲然と立ち尽くし、天の一角を睨む陸軍参謀総長。そんな光景のなかで「ペンタゴンの知恵袋」と呼ばれて慕われていたひとがふと漏らした言葉だった。*筆者が6月の下旬にワシントンDCに滞在していた折、バラク・オバマ大統領はアフガニスタン駐在アメリカ軍のスタンリー・A・マクリスタル司令官を前線から召還した。表向きはアフガニスタン情勢の協議とされていたが、特殊部隊出身の将軍の命運は既に尽きかけていたのだろう。 ………
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