「緊縮は禁句」こわごわ仏年金改革

独英の大胆な緊縮財政と肩を並べたかに見えるが、公務員天国の反発を恐れて言を左右。

2010年8月号 GLOBAL

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外国人から見ると、フランスは、「疑似社会主義」とか、国家がどの分野にも介入する「大きな国家」というイメージがあるようだ。しかしその「大きな国家」の政府でも、手を出しにくいテーマがある。年金制度だ。ギリシャやポルトガルなどがソブリンリスク(政府債務の信認危機)の嵐に見舞われ、6月のトロントG8/G20(主要国首脳会議と20カ国・地域首脳会議)で、先進国は2013年までに財政赤字をGDP(国内総生産)比で少なくとも半減させるとの共同声明を出し、ドイツや英国などユーロ圏諸国は軒並み緊縮財政を打ち出した。ところが、フランスではこの数カ月、年金制度改革が論議の中心で、表立っては緊縮財政の目玉にしようとしていない。

「60歳に触れるな!」デモ

安定した票田を維持できるかどうかのポイントとなる「年金」という言葉に、フランスの政治家は敏感なのだ。これまでも党派を問わず、多くの政権が「年金」とい ………

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