社外取締役が自殺? その謎を追う本誌は、木村剛のメールとメモを入手、内容に愕然とさせられた。
2010年9月号 BUSINESS [振興銀行ゾンビ企業群]
陽炎(かげろう)に喪服の幽鬼が揺らめく。炎暑の8月6日午前、汗をしたたらせた黒服の群れが、喘ぎ喘ぎ東京・品川の桐ケ谷斎場にたどりついた。焼香の列はみな戸惑いの表情で遺影を仰いでいる。弁護士、赤坂俊哉。司法修習40期で51歳とまだ若い。大原法律事務所に所属し、あの日本振興銀行の社外取締役だった。つい3週間前、その顔は全国の新聞、テレビに流れたばかりである。振興銀行の木村剛前会長(48)が銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕された7月14日夕、急きょ社長に就任した作家、江上剛(本名・小畠晴喜)の隣に座り、ともに緊急会見に臨んでいた姿は記憶に新しい。そのまさかの死が報じられたのは8月2日昼だった。「関係者によると、赤坂弁護士の家族が7月31日朝、自宅の書斎で首をつって死んでいるのを発見し、119番した」(読売新聞)。他紙も大同小異の報道だったが、遺書の有無は分かれる ………
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