「尖閣」で中国共産党の危機露呈

中国漁船の船長逮捕と江西省の焼身自殺。一見関係のない事件の邂逅に、政権への不満が透けて見える。

2010年11月号 GLOBAL

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9月7日午前、尖閣諸島沖で操業していた中国福建省の漁船が、海上保安庁の巡視船の停船勧告を無視して逃走し、巡視船に衝突した。翌8日、船長は公務執行妨害容疑で逮捕された。2日後の9月10日午前、福建省に隣接する江西省の宜黄県で、地元政府に自宅の強制立ち退きを迫られた住民3人が焼身自殺を図った。住宅を取り壊すため突入した警官と役人への抗議で、1人が死亡、2人が重傷を負う惨事になった。一見まったく関係のない二つの事件は、中国社会に広がる過程で予期せぬ重なりを見せた。浮かび上がった国民の強い不満だ。中国政府にとって、尖閣諸島(中国名「釣魚島」)は極めて敏感な問題である。そこで何かが起きれば、中国は声高に自国の主張を叫ばなければならない。しかしこの漁船衝突事件で、中国政府があれほど強硬な姿勢をとり、外交上の争いをレアアース(希土類)の一時輸出停止など経済にま ………

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