編集後記

2010年11月号 連載

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早いものでリーマン・ショックから2年過ぎた。見渡せば花も紅葉もなかりけり、の定家の歌ではないが、いまだに風景は寥々としている。一歩手前で大恐慌は避けられたとはいえ、今も米国は二番底に怯え、救世主だった中国は、人民元の為替操作と、レアアース禁輸と、劉暁波ノーベル賞受賞でバッシングの憂き目。前号の書評欄で取り上げたサブプライム破綻のノンフィクション(マイケル・ルイス『世紀の空売り』)の教訓「歴史は繰り返す」が耳に痛い。▼ルイスはかつてのウォール街の帝王ソロモン・ブラザーズの出身。同じくソロモンに在籍した人に読後感を聞くと、中枢にいたわけでもないのに面白おかしく内情を暴露した彼は「裏切り者の与太ライター」と見られていた。ただ、新作では、住宅バブルに逆張りした変人たちを克明に取材していて「投資行動の背景となる感情の蠕動まで秀逸に描きだしている」と ………

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