「もう待てない」と蔵書を裁断してPDF化するビジネスが大流行。出版ビジネスは勝てない?
2010年12月号 LIFE
2010年春にアップルが発売したタブレット型携帯端末「iPad」の登場で、「いよいよ電子書籍時代が来た」と狂騒曲がかまびすしい。その割には、日本では飛ぶように売れたという電子書籍の評判を聞かない。出版社のウェブサイトを見ても、まだほとんどが活字の本ばかりだ。現在の出版業界は、グーテンベルクを創始者とする近代印刷技術の進展とともに拡大してきた。大量印刷技術がベストセラーを誕生させ、高精度のオフセット印刷技術が豪華本のクオリティーを高めた。しかし技術の進歩は残酷なものである。長い時間をかけて築き上げた技術やノウハウを瞬間的に無意味な長物にしてしまう。鉛の活字を組む活版技術が写真植字技術にとってかわられ、写真植字技術は電算システムに置き換えられ、DTP(Desktop publishing)の進歩によって製版屋は淘汰された。これまでは業界内部での技術革新だったが、電子書 ………
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