負債2.5億円で破産した上場企業TCB

2010年12月号 連載 [IT万華鏡]

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10月20日、東証マザーズ上場のTCBホールディングスが東京地裁に破産手続開始の申し立てを行い、11月5日付で上場廃止となった。負債総額は9月30日時点で2億5823万円。稀に見る小さな負債額でのマーケットからの退場だった。

TCBは昨年8月、PR事業のフリーポートとシステム事業のディーアンドアール・インテグレイツを買収。同年9月に従来のネットインフラ事業を別会社化したTCBテクノロジーズに移管し、持ち株会社に移行していた。しかし、2社の買収で資金繰りが悪化。資金調達のメドがたたず、破産手続きに入ったという。

だが、TCBの説明を鵜呑みにする株主は少ない。そのあおりで、TCBと昨年12月に資本・業務提携し、株式の12%を取得していたマザーズ上場のフルスピードは株価が急落。同社の芳賀麻奈穂社長はツイッターで「ごく最近大嶽(貞夫)社長本人から順調だという話を聞いたばかりですし、たぶんそもそも債権者って、子会社がメインのはず。しかも上場企業で負債2億ちょっとで破産??」と怒りをぶちまけている。

また、主要株主であるジェイアンドエムキャピタルは、債権者として破産手続開始決定に対し即時抗告している。同社の大谷養代表は、12月の臨時株主総会でTCBの取締役に選任される予定だった。

負債総額の小ささや、大嶽氏が社長を兼任するディーアンドアールを含めた子会社3社が破産対象になっていないことなどから、「計画倒産」との見方も出ている。関係者によると、申請時の負債の多くは子会社からのもので、グループ外からは8千万円程度しかなかったという。

大嶽氏に近い人物は「資金調達先の候補として20社ほどの名前が挙がったが、スジの悪いところが多かったようだ。大嶽さんは心臓を患っていたから、無理はしたくなかったのだろう」と弁護する。

   

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