松本学日記とPCLの人々

「警察トップ」の文化交遊

2011年4月号 連載 [日記逍遥 第27回]

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「日本橋偕楽園に文芸懇話会最初の会を開く。新聞等の論調が面白い。非常なセンセーションを与へたやうだ」(昭和9年1月29日)ときの警保局長松本学が愉快そうに記したように、数日前の東京の各紙には刺激的な見出しが並んでいた。「警保局の後押しで/帝国文芸院の計画」(東京朝日新聞)「官吏と文芸家/敵味方?握手/音頭取りは松本警保局長」(読売新聞)警察のトップである警保局長主催の会合のため、「文芸統制」への動きと見られたようで、文壇は大騒ぎとなり、世間の注目を集める。松本学といえばこの一件から、「統制の元締め」のように見なされることが多い。だが島木健作の文芸懇話会賞授賞に反対したのちは「統制」らしきことはなく、うるさ型をよくまとめて、日本芸術院への道筋をつけていった。菊池寛も解散に際し、「官僚政治家の中では、文芸に好意と関心を持ち、文芸の保護奨励を計ら ………

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