インターネットの普及で、反抗者たちに新たな闘争手段。“散歩”はいつデモに早変わりするか分からない。
2011年4月号 GLOBAL
3月上旬の北京はピリピリした空気に覆われていた。毎年この時期、天安門広場に面した人民大会堂で「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)が開催されるため、市内の警備が強化される。今年は警察と武装警察に加え、民間の保安要員が大量に動員された。袖に赤い腕章をつけて街角のあちこちに配置され、総数は75万人に上るという。2008年の北京五輪以来のものものしい警戒は、言うまでもなく「中国ジャスミン革命」を封じるためだ。
ジャスミンは中国語で「茉莉花(モーリーホワ)」と書く。北アフリカ発のジャスミン革命はチュニジアの国花が由来だが、中国では「茉莉花」が別の意味の政治的符丁であることは意外に知られていない。茉莉花と聞いて中国人が真っ先に思い浮かべるもののひとつは、二胡のゆったりとした調べが郷愁をさそう民謡「茉莉花」だ。清朝時代の江南地方で歌われ始めた ………
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