国家指導者「最終決断」の拠り所

2011年6月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第62回]

  • はてなブックマークに追加

カリブの海から吹きつける潮気を孕んだ熱風。沙漠の地に育った者にとって、湿った空気がどれほど気持ちを滅入らせるか、そこに暮らしてみなければわかるまい。カストロの国はアメリカの喉元に刃を突きつけるようにフロリダ沖に浮かんでいる。グアンタナモ米海軍基地は、キューバの東端を切り取り、社会主義体制と併存している。遥か1万3千キロも離れたヒンドゥークシ山脈からテロリストの一群がここに次々と連行されてきた。9.11事件に関与したと諜報当局が疑うイスラム教徒たちだった。オレンジ色の囚人服を着せられ、眼はゴーグルで覆われ、耳と口は特殊なマスクで塞がれていた。「グアンタナモ基地に収容しているのは、対テロ戦争で捕らえられた連中だ。彼らを裁判にかけて刑務所に送り、罪に問おうとしているわけじゃない。彼らを隔離しておくことが我々の狙いなのだ」ドナルド・ラムズフェルド国防 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。