2012年12月号 連載 [監査役 最後の一線 第20回]
1929年大恐慌の反省から生まれた米国の法律がある。グラス・スティーガル法(33年銀行法)。金融界に身を置く人や、企業と銀行の関係に詳しい人なら先刻ご承知だろう。原則として銀行による企業などの株式保有を禁止、金融持株会社が投資銀行と商業銀行を兼営することも認めてこなかった。後者の条項は、99年にグラム・リーチ・ブライリー法によって廃止されたが、その後の投資銀行バブルを生む引き金になったという批判は米国内でも根強い。そもそも企業に融資している銀行が、その企業の株式を保有すれば、必ず利益相反が起きる。銀行が自らの融資を守るために株主としての議決権を行使したりする事態が起き得る。大企業では5%保有と言えば大株主だが、それ以上に貸付金が回収不能になった場合の損害が大きいというケースは少なくない。長い間、銀行と企業の株式持ちあいが続いてきた日本では、企業 ………
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