2013年5月号 BUSINESS
安倍晋三首相が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を表明して以来、日本の農業関係者は外国の安い農産品が洪水のように流入する様を想像して震え上がっているのだろうか——。必ずしもそうではない。意欲のある生産者は貿易自由化のリスクとチャンスに身を引き締める。声高にTPP反対を叫ぶJA(農協)グループは、農業対策費と称して政府から補助金をいくら引き出せるか、算盤を弾くのに忙しい。政府の試算では、TPP参加で日本の農林水産業は生産額が3兆円減少する。林芳正農水相は「関税を即時全廃し、国内対策も打たない極端な前提を置いた試算結果だ」と、その意味を説く。つまり、TPP交渉で米国や豪州から関税撤廃の例外品目を勝ち取れば、その分悪影響は減じるというわけだが、もはや手遅れだ。農協、農林族議員、メディアには3兆円という数字だけが刻み込まれ、既に独り歩きを始めている。従って3 ………
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