2013年12月号 連載
新聞など巨大メディアの報道の中には、型にはまっていて中味の乏しい記事がある。
「高速有料15年延長」という新聞記事があった。小泉改革の目玉、道路公団の民営化は、経営効率化によって2050年までに借金を完済し、その後は無料化する計画だった。しかし、「政府は有料期間を15年延長する方針で、民営化から10年もたたないうちに見直しを迫られた」と批判的に報じている。
50年に無料化すると、会社の売り上げはゼロになるが、そもそもこんな民営会社があるのだろうか。小泉改革の中味のおかしさまで分析した上で、批判的な記事を書くべきではないのか。さらに、いまの日本の財政事情で高速の維持管理費用を税金でまかなうより、受益者負担の方がはるかに合理的ではないのか。
ステレオタイプの分析の乏しい報道ばかり読まされていては、読者は真実がわからなくなる。やはりFACTAのように深く掘り下げた真相を報道するメディアが必要とされる所以である。
元国税庁次長 村上喜堂