FACTAの原発問題に関する基本的スタンスはどうなのか。「脱原発」「卒原発」「減原発」「（新増設込み）原発維持」。安易なラベリングは慎まねばならないとは思う。2月号では東電の再稼働へ走る民意を無視した無軌道ぶりと御用マスコミの悪ノリが断罪されていた。脱原発志向を推測させる。一方、昨年12月号では大間原発建設再開1年の報告があり、ある程度の容認を前提にしているようにも受け取れる。

編集部にメールしてみた。「微妙に揺れています」。率直な回答に心を打たれた。容易な解はない、とも。ぶしつけな質問をした自分自身もそうなのにと改めて省みた。巻末「某月風紋」は毎号、原発に触れる。フクイチをはじめ現場に徹し、冷静な思考を促す記事に敬意を抱く。

原発は国防をめぐる問いを必然と招く。日本のプルトニウムと潜在的核戦略に関する分析も一考してほしい。バルカン化する極東。米が日本を危険視、核・原発政策を転換させる可能性は皆無だろうか。孤立化を恐れぬ安倍政権に不安がぬぐえない。

元地方紙記者　餅田智彦