2014年5月号 連載 [いまここにある毒]
天国と地獄――ピンクやイエローの研究室に割烹着の「リケジョ」が、凝った演出でまんまとマスメディアの寵児に祀り上げられたが、かえって「売らんかな」報道の餌食となって袋叩きにされ、理研の調査で「不正研究」の烙印を押されると、反論会見で涙を見せた。嘘も百回繰り返せば真実になる。ナチス宣伝相ゲッベルスの“名言”だが、実験写真の切り張りなど未熟以前のお粗末さだった。「万能細胞」への生煮えの知識や幻想を隠れ蓑にすれば、簡単に世の中を翻弄できるとは情けない。研究現場のコピペや改竄、科研費不正はおそらく氷山の一角で、米国の研究公正局(ORI)のような検非違使がいれば、「実力なき成り上がり」の蔓延が明るみに出るのではないか。正直の美徳は廃れたらしい。マキャヴェッリは「私人が成り上がるにはfortunaかvirtuが前提」と言った。前者は「運」だが、後者を「徳」と訳すのは座 ………
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