タイ軍事政権は「既得権層寄り」

公共投資、民間設備投資先送りで経済回復望めず。タクシン派押さえ込みで緊張が続く。

2014年7月号 GLOBAL

  • はてなブックマークに追加

5月22日、タイ陸軍は無血クーデターを決行、政治改革を通じ、対立するタクシン・チナワット元首相派と反対派の和解を推し進め、来年以降総選挙を実施して民生復帰をめざすという。両陣営の激しい対立でタイの政治は昨秋からマヒ状態にあり、確かに休戦が必要な時期に来ていた。景気後退の瀬戸際をさまようタイ経済が救いの手を求めていたのも事実である。

隠れた国王世襲問題

だが、軍事クーデターが事態を改善するかと言えば、見通しは暗い。2006年、同様の状況で起こった軍事クーデターは、緊張緩和にほとんど寄与せず「軍部にとっては最悪だった」とみられている。総選挙の実施が1年以上先となって、投資家も様子見を決め込んだ。タイ陸軍は、反政府派や政府支持派などの代表を集めて2日にわたって協議を行ったが、不調に終わった。その直後、憲法の停止とタイ全土の掌握を宣言した。暫定軍事政権「国家平和秩序評議会 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。