「敵の敵は味方」で中国の「分断策」に対抗。日比に接近し、米海軍の寄港増加も。
2014年7月号 GLOBAL
ベトナムはこれまで、一つの籠に全部の卵を盛るようなリスクを冒したことがない。国連安全保障理事会の五つの常任理事国すべてと戦略的で包括的な関係を持つ数少ない国の一つとして、「味方は多く、敵は少なく」という全方位外交の方針を長らく国是としてきた。中国とベトナム双方が領有権を主張する南シナ海・西沙(英語名パラセル)諸島の近海に、中国が5月に石油掘削施設(リグ)を設置して以来、両国の漁船同士が体当たりを繰り返すなど、にらみ合いが続いている。その中で多様な連携を重視するベトナムのこうした政策が、今は役に立つ時かもしれない。
中越関係は両国の建国以来、常時といっていいほど諍(いさか)いが絶えなかった。しかし、最近の中越間の争いは、過去数十年間では例をみないほどのレベルまで緊張が高まっている。ハノイのベトナム政府は、少なくとも公式には敵対する国がある ………
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