実録・ソニー「追い出し部屋」⑩「ヒト切り」人事マネージャーも辞める覚悟

心の中に、別の人格の自分を作っておいて言い聞かせるわけだよ。「私が言ってるわけじゃない。会社が『辞めろ』と言わせるんだ」と。

2014年7月号 BUSINESS [短期連載⑩]

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「殴られるかもしれない」。そう思ったことがある。彼女はソニーの人事マネージャーだった。リストラに直面する本社の人事部にいる。会社を代表して退職を促すことが仕事の一つになっていた。ある人事部員は居酒屋でこんな冗談を放った。「私たち、いつか刺されるかもね」。同席した知人は黙って酒を飲み干した。ピーンと張りつめた緊張の糸を見たような気がしたのだろう。大した落ち度もないのに、ある日、人員削減の対象になる。「これだけの人数を削減しなくてはいけない」という会社の数字――。言い換えれば、「経営判断」という机上の計が下りてくる。すると、それぞれの部署はリストラ候補者を決めるしかなくなるのだ。1割削減の目標ならば、10人の課員のうち成績が10番目と判断された人。その運のない人に面談して、最後には「あなたの仕事はなくなります」と伝えざるを得ない。それを拒否すれば ………

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